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奈良大和の古寺石仏を情感豊かにうたいあげ、その響き・調べの美しさで近代文学史上に光彩を放つ八一の代表歌集。 「本作品は大正１３年に東京春陽堂より８００部限定で発行したものに、誤植を正し、修正を加え、「南京余唱」「旅愁」「比叡山」ほか１１篇を追加し、歌数は春陽堂の刊行本に比して優に２倍を超えている。 著者の大和旅行は、常に美術史学研究のために為したるも、歌を詠ずる時には、往々伝民お心安易きに興じてこれに拠りしものあり。法隆寺綱封蔵の梓弓を聖徳太子の手澤となし、新薬師寺金堂にて本尊の右側なる神将を迷企羅大将と呼び、法華寺の本尊及び温室に対して光明皇后を連想し、三輪の金屋の右仏を薬師とみなし、武蔵野を春日野と区別せず、唐招提寺をも大寺を以て呼びしが如き、みな然り。（中略）「南京新唱」「南京余唱」の「南京」を「ナンキン」と読む人少なからずも、「南京」は「南都」とひとしく古来奈良の別名なれば、昔時「南京遺響」「南京遺文」あり。みな須く「ナンキヨウ」たるべきなり。（中略）著者がさきに初めて歌集を出して世に問いし時、序跋文又は題書を寄せられた人々のうち、坪内逍遥先生、淡島寒月、山口剛らの諸君今はみな在らず。感懐最も深し。 本書の出づるや、信濃の松下英麿君本奔走して力あり。上野の人吉野秀雄君専ら校正に労せらる。記して之を謝す。」（寒燈「例言」より） 創元社・昭和１５年５月初版発行の会津八一「歌集　鹿鳴集」函付きです。表紙・扉文字は著者。装幀意匠は青山二郎です。経年のヤケ、小シミが函と本体の三方に少しありますが、本文にはシミは少なく、書き込みや蔵書印などはありません。 ８３年前の古書であることをご理解の上、購入の検討をお願いいたします。 ※会津八一に関する以下の作品も出品しています。 吉野秀雄「鹿鳴集歌解」 吉野秀雄「秋艸道人　会津八一」 原田清　「会津八一　寒燈集評釈」 植田重雄　「会津八一とその芸術」